「控除って結局いくら戻るの?」を印象で語っても意味がありません。判断すべきは、あなたのケースでの戻る金額という1つの数字です。式はこれだけ。
ここで最初に押さえるべき大原則が1つ。「所得控除」と「税額控除」は別物です。所得控除(医療費控除・生命保険料控除など)は課税所得を減らし、戻りは控除額×税率。一方の税額控除(住宅ローン控除・ふるさと納税の一部など)は税金そのものから直接差し引くため、効きが大きい。混同すると「思ったより戻らない/戻りすぎる」と勘違いします。
会社員が特に見落としやすい順に、対象になりやすい人と“落とし穴”を採点しました。1つでも「当てはまるかも」があれば、公式で要件を確認する価値ありです。
| 控除(種類) | 対象になりやすい人 | 見落としポイント |
|---|---|---|
| ①医療費控除/セルフメディケーション 所得控除 | 年10万円超の医療費/家族分合算/通院交通費あり | 年末調整では引けない=確定申告が必要。両者は選択制で併用不可。市販薬中心ならセルフメディケーション税制も |
| ②生命保険料控除 所得控除 | 生命・医療・個人年金保険に加入 | 年末調整で申告済みが多いが、証明書の出し忘れで1本まるごと漏れることがある。旧契約と新契約で枠が違う |
| ③地震保険料控除 所得控除 | 持ち家・賃貸で地震保険に加入 | 火災保険とセットで払っているのに控除対象は地震部分だけ。証明書を見て申告漏れがないか確認 |
| ④社会保険料控除 所得控除 | 家族(子・配偶者)の国民年金・国保を自分が払った | 給与天引き分は自動。だが家族分を現金で肩代わりした保険料は、払った人の控除にできる。ここが盲点 |
| ⑤小規模企業共済等掛金控除(iDeCo) 所得控除 | iDeCo・小規模企業共済に拠出 | 掛金が全額控除。会社員でも自分で申告可。掛金の証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)の出し忘れに注意 |
| ⑥扶養控除・配偶者(特別)控除 所得控除 | 収入の少ない配偶者・親・子を扶養 | 別居の親への仕送りでも要件を満たせば扶養に入る場合あり。配偶者“特別”控除は収入で段階的 |
| ⑦ひとり親控除・寡婦控除 所得控除 | ひとり親/夫と離婚・死別した女性など | 要件を知らずまるごと未申告のケースが多い。所得制限あり。年末調整の申告書で申告可 |
| ⑧寄附金控除(ふるさと納税“以外”も) 所得控除/一部税額控除 | 認定NPO・公益法人・政党・国等へ寄附 | ふるさと納税だけじゃない。災害義援金・母校への寄附なども対象になり得る。ワンストップ外は確定申告 |
| ⑨雑損控除 所得控除 | 災害・盗難・横領で資産に損害 | 災害減免法との選択制。存在自体を知らない人が多い。翌年以降への繰越しができる場合も |
| ⑩住宅ローン控除 税額控除(別物) | 住宅ローンでマイホーム購入・入居 | 1年目は必ず確定申告(2年目以降は年末調整可)。所得控除ではなく税金から直接差し引くので効きが大きい |
正直な注意点:ここに挙げた10項目は「該当すれば使える可能性がある」ものです。所得制限・上限額・併用不可(医療費控除とセルフメディケーションなど)といった細かい要件は年ごとに変わります。「たぶん対象」で処理せず、必ず国税庁タックスアンサーの各Noで最新の要件を確認してください。ここを飛ばして「全部戻る」と煽るのは、この検証室のやり方ではありません。
数字で見た方が早い。仮に、これまで申告していなかった控除の合計が年10万円分あり、あなたの合計税率(所得税+住民税)が20%だったとします。すると――
これが「毎年」続くなら、5年で10万円。しかも過去分は5年までさかのぼって還付申告できるケースがあります(年末調整だけで済ませ、確定申告をしていなかった人など)。つまり“気づいた今”が一番得で、放置するほど時効で消えていきます。控除は待っていても向こうからは戻ってこない。申告して初めて戻ります。