この2択は「どっちが偉い」ではなく、あなたのその年の使い方でどちらの控除額が大きいかだけの問題です。両者は選択適用=併用できず、片方を選んだらもう片方は使えません(国税庁 No.1131)。だから比べるべきは、次の2つの「控除額」という数字です。
そして、実際に戻る(安くなる)お金の目安はこう出せます。控除額そのものが返ってくるわけではない点に注意してください。
ケースA:医療費がかさんだ年。入院・歯科などで年間の医療費が28万円かかった人(総所得200万円以上)。医療費控除は「28万円 − 10万円 = 18万円」が控除額。一方セルメは上限8.8万円まで。この年は医療費控除の圧勝です。
ケースB:病院はほぼ行かず、市販薬中心の年。対象OTC薬を年間5万円買ったが、医療費の合計は8万円で10万円に届かない人。医療費控除は0円(10万円を超えないため)。一方セルメは「5万円 − 1.2万円 = 3.8万円」が控除できる。この年はセルメ税制の勝ちです。
つまり「医療費が多い年は医療費控除、市販薬中心の年はセルメ」。毎年、その年の実績で有利な方を選び直すのが正解です。片方に決め打ちして煽るのは、この検証室のやり方ではありません。
| あなたのその年の状況 | 勝者 | 理由 |
|---|---|---|
| 入院・手術・歯科などで医療費が10万円超 | 医療費控除 | 超えた分が丸ごと対象。上限200万円まで積める |
| 医療費が10万円に届かない | セルメ | 医療費控除は0円。セルメなら1.2万円超で取れる |
| 市販の対象OTC薬をよく買う(年1.2万円超) | セルメ | 薬局レシートが控除に化ける(要・対象品目) |
| 総所得が200万円未満で医療費が5%超 | 医療費控除 | 基準が10万円でなく総所得の5%。ハードルが下がる |
| 健診・予防接種を一切受けていない | 医療費控除 | セルメは「一定の取組」が必須。未実施なら使えない |
| 医療費も薬代もどちらも中くらい | 両方で試算 | 控除額を2通り計算し、大きい方を選ぶだけ |
正直な注意点:セルメ税制は「対象として指定されたOTC医薬品」だけが対象で、すべての市販薬が入るわけではありません(パッケージやレシートに識別マークがあります)。また会社員でもこの控除は年末調整では処理されず、確定申告(還付申告)が必要です。逆に言えば、出し忘れてもその年の翌年から5年間はさかのぼって還付申告できます(国税庁 No.2030)。「去年の分、忘れてた」でもまだ間に合う可能性があります。