「大きい方が安心」「みんな入っているから」という印象で決めると、必要額はわかりません。判断すべきは、あなたが亡くなった後に遺族が実際に足りなくなる金額という1つの数字です。これを必要保障額と呼びます。式はこれだけ。
これは生命保険文化センターなど公的な生活設計情報でも用いられる「必要保障額 積み上げ方式」の基本形です。プラス(不足)なら、そこが保険で埋めるべき額。ゼロやマイナスなら、保険はほとんど要らないという判定になります。
のこされた家族の生活費・子どもの教育費・住居費、加えて葬儀費用などです。生活費は「今と同額」で見積もらないのがポイント。世帯人数が減るため、末子が独立するまでは現在の消費支出の約70%、独立後は約50%を目安にします(生命保険文化センターの試算例)。
ここを見落として"入りすぎ"る人が非常に多いところ。遺族には次の収入が入ります。
公的年金は意外と手厚く、子のある配偶者が受け取る遺族基礎年金は年額847,300円(月約7万円)+子の加算(第1子・第2子は各243,800円)。会社員なら遺族厚生年金(亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4)も上乗せされます(いずれも2024年度・日本年金機構)。この「もらえるお金」を差し引かずに必要額を語ると、必ず過大になります。
最大の勘違いが住居費です。住宅ローンを組むとき、多くは団体信用生命保険(団信)に加入しています。契約者が亡くなると団信の保険金でローン残高がそのまま完済され、遺族に返済義務は残りません(金融機関・年金機構の公開情報)。
つまり団信ありの持ち家の人が、住居費をまるごと保険で用意しようとするのは典型的な"入りすぎ"。逆に、団信のない賃貸で子どもが小さい家庭は家賃分の支出が丸ごと残るため、必要額は大きくなります。同じ「持ち家か賃貸か」でも結論が反転するので、式に入れて確かめる価値があります。
| あなたの条件 | 必要保障 | 理由 |
|---|---|---|
| 子どもが小さい・専業/パートの配偶者 | 大きめ | 教育費と生活費を長期間、遺族収入だけでは賄いにくい |
| 賃貸で子育て中(団信なし) | 大きめ | 家賃分の住居費が丸ごと総支出に残る |
| 持ち家・住宅ローンに団信あり | 中〜小 | 死亡時にローンは完済。住居費を二重計上しない |
| 共働き(配偶者に安定収入) | 小さめ | 遺族の総収入が大きく、不足が生じにくい |
| 子なし夫婦・共働き | 小さめ | 遺族年金+配偶者収入で足りるケースが多い |
| 単身(扶養する家族がいない) | ほぼ不要 | 遺す相手がいない。必要なのは葬儀費用程度 |
正直な注意点:「必要額が小さい=保険が無意味」ではありません。子どもの成長・住宅購入・離職などで必要額は数年で変わります。今ゼロでも、将来は必要になることがある。逆に、子どもが独立した後も昔の大きな保険を払い続けているなら、それは減らせる可能性が高い。ここを「不安だから大きく」と煽るのはこの検証室のやり方ではありません。今の式で、今の必要額に合わせるのが正解です。
必要額が出たら、それをできるだけ安く用意します。基本は掛け捨て(定期保険)。解約返戻金がない分、同じ保障額を割安な保険料で確保できます。子どもが小さい間だけ大きく備え、独立後は下げる、といった調整も定期保険なら柔軟です。
「貯蓄も兼ねたい」と貯蓄型(終身など)を大きく持つと、保険料が跳ね上がり"入りすぎ"の温床になります。保障は掛け捨てで安く、貯蓄は貯蓄で分けて考える――これが過不足を防ぐ王道です(詳しくは 掛け捨て vs 貯蓄型の採点記事 へ)。