忖度はしません。計算はごまかせない。「実質1円」の“実質”は、24回払い・毎月大手回線・23か月目に返却――という条件を全部満たしたときの話。1つでも欠けると、残債がそのまま乗ってきて、ただの高い端末に戻ります。得か損かは端末価格ではなく、あなたが実際に払い終える総額で決まります。
「実質1円」「返却で残債免除」という表示価格で決めると損得はわかりません。判断すべきは、あなたが最後までに実際に払う総額という1つの数字です。式はこれだけ。
端末の実負担とは、返却型なら「返却するまでに払った分割金の合計(免除される残債は0円)」、一括所有なら「買った価格 − 手放すときの売却額」です。返却型は端末が手元に残らない点も、この数字に効いてきます。
2019年施行の電気通信事業法の改正で、通信契約とセットの端末値引きは原則上限ありに規制されました(総務省)。だから各社は「通信料の割引」ではなく、端末を分割で買い、途中で返却させて残りを免除する=返却プログラム型に軸足を移しています。つまり“実質1円”は値引きではなく、「返す前提の分割払い」。返さなければ残債が残る、というのが仕組みの核です。
10万円クラスの端末を例に、2年(24か月)で並べます。数字は式に当てはめるための一例です。
| 項目 | A:返却プログラム+大手回線 | B:一括所有+格安SIM |
|---|---|---|
| 端末の実負担 | 約48,000円 (本体10万円を48回等で分割 → 24回目に返却し残債免除。約半額を負担) | 約70,000円 (本体10万円を一括購入 − 2年後の売却/下取り 約3万円) |
| 月額(回線) | 約6,500円 × 24か月 = 156,000円 | 約2,000円 × 24か月 = 48,000円 |
| 下取り・還元 | −(残債免除は端末側で反映済み) | 端末の実負担に反映済み |
| 2年総額 | 約 204,000円 | 約 118,000円 |
ポイントは、差額の大半は端末ではなく回線の月額から生まれていることです。返却プログラムは端末側を安く見せますが、それを成立させる条件が「大手回線を使い続ける」なら、月々の回線料で差がつきます。しかもAは2年後に端末が手元に残らないため、3年目も同じ支出が続きます。Bは端末が自分のものなので、3年目以降は月2,000円だけで走れます。
「2年で強制的に新機種」を“お得”と感じるか、“買わされている”と感じるか。ここは価値観です。私は採点しかしません。ただ計算上は、同じ端末を3〜4年使う人ほどBの総額が伸び、毎年最新機種に乗り換えたい人はAの手間・回線の安心とのトレードになる、とだけ言えます。
| あなたの条件 | 勝者 | 理由 |
|---|---|---|
| 2年ごとに必ず新機種へ乗り換える | 返却プログラム | 返却前提を毎回満たせるなら端末の実負担を圧縮できる |
| 1台を3〜4年使い倒す | 一括所有+格安SIM | 端末が残り、以降は月額の安さがそのまま総額差になる |
| 回線は大手にこだわりたい | 引き分け | 返却型と相性が良いが、月額の高さは総額に効く。要試算 |
| 月のデータが少なく料金を下げたい | 一括所有+格安SIM | 端末を切り離せば月額を大きく下げられる |
| 23〜24か月目に返却手続きを確実にできる | 返却プログラム | 免除条件を守れる人だけが“実質”の恩恵を受けられる |
| 返却期限を忘れそう/端末を長く持ちたい | 一括所有+格安SIM | 返却漏れ=残債発生。所有なら期限管理が不要 |
正直な注意点:返却プログラムは、①返却時の端末状態(傷・故障)で査定減額や追加費用が出る場合、②回線の同時契約や特定プラン継続が条件のことがある、③返却しないと残債が一括または継続請求になる、という落とし穴があります。逆に、毎回きちんと条件を満たせる人には合理的な選択肢です。「返却型は損」と一括で煽るのも、この検証室のやり方ではありません。